奥州・金ケ崎

10年手塩にかけた逸品 「奥州羽衣」新花登録 サツキ交配 水沢・千葉善吾さん

新花として品種登録された「奥州羽衣」と、交配した奥州市水沢の千葉さん

 奥州市水沢中上野町の千葉善吾さん(78)の交配したサツキ「奥州羽衣(おうしゅうはごろも)」は、日本皐月協会の品種登録審査会で新花として登録された。奥州羽衣は、「奥州の輝(かがやき)」と人気種「煌陽(こうよう)」を交配し、10年手塩にかけたという逸品。白の花に奥州の輝の特徴的な赤が「絞り」で交じる。千葉さんは「初めての交配で良いものができた。登録に感激している」と語っている。

 千葉さんがサツキにのめり込むきっかけは、四十数年前に病気で入院した時、見舞いに来た友人が鉢植えを持ってきたこと。それが色や模様がさまざまな花を咲かせたサツキで「いろんな花が咲くんだ」と感動し、自分で育てているうちにどんどんと奥の深い世界に入り込んだという。

 奥州の輝は、県南地方を中心にした地域の品種。千葉さんが生息状況を調査し、同協会が2008年に「古花」として登録。「衣川生まれではないか。安倍貞任から奥州藤原氏へとつながる歴史があるようだ。この辺では『田植えツツジ』などとして知られ、赤く丸みのある花が6月ごろに咲く」という。

 奥州の輝の登録後、「次はこれを基にした新品種を」と交配に取り組んだ。奥州の輝の相手に選んだのはさまざまな花が楽しめる煌陽。この中から白い花を選んで交配し、種を取って育てた。

 サツキの種はとても小さく種まきも「粉薬を扱うように慎重にした」。ほんの小さな芽が出た後もゆっくりした成長を見守り、ようやく3年目に苗として育て始めた。その後は順調に育ち、7、8年目に花芽を付けるようになった。

 花が付くとほとんどが奥州の輝と同じ赤い花。「サツキはどうしても赤が強い。赤い花が出ると次の年からさらに増えていく」。ほとんど赤い花が咲く中、「その中に4鉢だけ白い花が咲いた」と喜んだ。

 ある程度花芽が付くようになった21年秋、22年5月中旬の品種登録審査会を目指した管理を開始。「東京で行われる審査会で一番良い状態に」と早めに咲くように日照時間や温度を調整した。4鉢のうち1鉢がうまく花を咲かせたことから審査会に出品し、奥州羽衣として登録された。

 奥州羽衣は、丸みを帯びた花の形は奥州の輝の特徴を、葉の形や枝の様子などは煌陽の特徴が出ている。千葉さんは「白い花弁の中に、絞りや春雨絞りという模様が赤く差している。めしべの奥にある子房が表に出ているのも特徴の一つ」と紹介している。

 千葉さんは「250本育てたうち4本。趣味の世界だから専門の人たちのようにはいかない」と口にしつつも「これもサツキの面白さ」とほほ笑む。「年齢も年齢だし、重い物を持ち上げるのも大変になってきた。できればあと二つ登録されるように審査会に出品したい」と次の目標を語っている。

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