奥州・金ケ崎

郷土愛満ちた舞台熱演 3年ぶり前沢劇場 「老いの名の坂 輔八坂の軌跡」【奥州】

「老いの名の坂 輔八坂の軌跡」で熱演を見せる奥州前沢劇場のキャスト

 奥州前沢劇場の第22回公演「老いの名の坂 輔八坂の軌跡」(実行委主催、岩手日日新聞社など後援)は15日、奥州市の前沢ふれあいセンターで行われた。新型コロナウイルスの影響で中止や延期が続いていたため、公演は3年ぶり。前沢と衣川、胆沢方面をつなぐ坂を拡幅して名を残した大久保輔八の人生を題材に、郷土愛あふれる舞台を繰り広げた。

 同劇場は演劇を通したまちづくりや人づくりを狙って2000年に発足した。今回の演目は感染拡大防止対策と両立できる公演として21年度に予定していたが、新型コロナの感染拡大で延期。今回、待望の公演を迎えた。

 主人公の大久保は明治から大正時代にかけて活躍した郷土の先人。廃仏毀釈(きしゃく)や米穀検査員など、なり手の少なかった仕事を引き受けてきた。大久保は郷土愛から、霊桃寺と熊野神社の間にある坂を広げようと1人で工事に向かう。老年で無謀とも見えたが、徐々に協力する人たちが増えていく―という粗筋。

 2回公演のうち午前の初回には約370人が来場した。前沢を中心とした未就園児から80代まで約50人のキャスト・スタッフは経験豊富で、新型コロナの影響によるブランクを感じさせない舞台を繰り広げ、客席からは大きな拍手が送られた。

 大久保は青年と老年で役者を分けており、坂造りに挑む老年の大久保を演じた小野寺喜美雄さん(70)=同市前沢古城字松ノ木沢=は初主演。「実在の人物を演じるのは重圧があり、どうすれば見る人に喜んでもらえるか気を付けながら練習してきた。皆さんの反応は良かった」と安心した表情を見せていた。

 家族と来場した千田莉乃彩さん(前沢小学校2年)は「お姉ちゃんが出るのを見に来た。コメの検査の場面が面白かった」と話していた。

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