奥州・金ケ崎

メイプル 歴史に幕 水沢 商店街閑散、「寂しい」【奥州】

奥州市水沢の中心商店街の顔となってきたメイプル。30日をもって閉店した

 奥州市水沢の複合商業施設メイプルは、30日をもって閉店した。テナントは3月末までに大半が撤去していたことから閑散として寂しい終幕を迎えた。土地と建物については中心市街地の再生へ向け、市が取得する意向を示している。東館地下に入居している親子ライブラリーえほんの森や西館の市まちなか交流館など公的なテナントは1日以降も従来通り利用できる。

 メイプルは1985年に旧水沢市(現奥州市)が事業主体となって整備。大型店の郊外進出が相次いでいた当時、中心市街地活性化の起爆剤としての役割を担ったが、売上高は93年の約80億円をピークに減少。集客の核となっていたジャスコ(現イオン)が2005年に撤退したことなどから、最初の閉店に追い込まれた。

 運営会社水沢中央ビルが民事再生手続開始を申し立て、営業譲渡を受けた水沢クロス開発が国の補助事業などを活用し、06年4月にジョイスなどを核店舗として改装オープンさせた。しかし、消費者が郊外へ流出する動きは止まらず、19年2月にジョイスが撤退。同6月にマルイチが入居したことで食品売り場が維持された。

 その後も他のテナントが埋まらず、維持管理費や光熱費などがかさみ、経営危機に陥っている状況を把握した市では、まちづくりの観点などから土地と建物を取得する意向を示し、近く取得の是非と手法を最終決定する。取得の場合は関連する補正予算案を市議会に諮る予定。運営会社の破産後、不動産鑑定評価額などを基に競売に参加することになる。同評価額は総額約2億6000万円。

 閉店を迎えて、市まちなか交流館スタッフの岩渕香織さん(32)は「昨年11月に閉店が報じられた時の利用者の皆さんの驚いた様子を思い出す。商店街の目印となる施設なので、閉店は寂しい。人通りも少なくなった印象。人材育成の拠点としての活用も検討されているようなので、若い人たちも多く集まる施設になってほしい」と話した。

地域の記事をもっと読む

奥州・金ケ崎
2024年5月6日付
奥州・金ケ崎
2024年5月6日付
奥州・金ケ崎
2024年5月6日付
奥州・金ケ崎
2024年5月6日付