一関・平泉

多幸と豊穣願い 中尊寺で金盃披き 4年ぶり開催 平泉

重ねた金盃を前に一年の多幸を願い、升酒を口元に運ぶ参列者=平泉町・中尊寺

 平泉町の中尊寺(奥山元照貫首)で8日、元日から1週間行われてきた修正会(しゅしょうえ)の祈祷結願(きとうけちがん)を祝う「金盃披(きんぱいびら)き」が行われた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で4年ぶりの開催となり、参列者が升につがれた清酒を飲み干し、新たな年の多幸と五穀豊穣(ほうじょう)を願った。

 修養道場「光勝院」仏堂に町内外から約100人が参列。奥山貫首を導師に一山の僧侶により営まれた法要では、1日に発生した能登半島地震で命を落とした人たちを弔い、被災地のいち早い復興も祈念した。

 平泉喜桜会の祝謡に続き酒だるの鏡開きが行われ、若い僧侶が金色のひしゃくで金盃に注いだ清酒を奥山貫首らが飲み干した後、参列者にも振る舞われた。

 金盃を使った回し飲みは感染症防止の観点から見送られ、代表の3人以降は配られた5勺(90ミリリットル)升を使用。参列者はそれぞれの願いを込めながら静かに升を傾け、平泉世界遺産ガイダンスセンターに勤務する猿橋幸子さん(47)=一関市字相去=は「皆さんに平穏な日が少しでも早く戻ってくるよう願いながらお酒をいただいた」と語った。 

 金盃披きは、旧古社寺保存法に伴う1897年の金色堂修理の際、賞勲局から下賜された銀盃で結願を祝ったのが始まりで、1968年の金色堂解体修理竣工(しゅんこう)を機に金盃へ改められた。金盃は3・5合(630ミリリットル)、2・5合(450ミリリットル)、2合(360ミリリットル)の3種類あり、合わせると末広がりを表す8合となる意味が込められている。

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