奥州・金ケ崎

友情と絆の物語 熱演 奥州前沢劇場「えぞにしき―菅江真澄旅の記憶」

奥州前沢劇場の第23回公演「えぞにしき―菅江真澄 旅の記憶」。地元を中心とするキャストが熱演した

 奥州前沢劇場の第23回公演「えぞにしき―菅江真澄 旅の記憶」(実行委主催)は4日、奥州市の前沢ふれあいセンターで行われた。歌人菅江真澄が旅の途中立ち寄った前沢の住民との友情と絆の物語を地元のキャストが熱演し、詰め掛けた観客を楽しませた。

 同劇場は演劇を通したまちづくりや人づくりを狙い2000年に発足した。今回の演目は21年に上演予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されていた。

 物語の舞台は江戸後期の東北地方。晩年を秋田で過ごした菅江(本名白井秀雄)が若い頃を回想するところから始まる。白井は蝦夷(北海道)に向かう途中、前沢に立ち寄り、歌人仲間の鈴木常雄を訪ねる。旅には使命があり、蝦夷の情勢を探ること。命を狙われながらも旅を続けた白井は前沢に戻り、鈴木の妹と結婚する。数年後、旅の途中で鈴木からの手紙と妻が縫った蝦夷錦のお守りを受け取るが、手紙で妻の死を知り、悲しみに暮れる―という粗筋。

 同日は2回上演され、837人が来場した。前沢を中心とした幼児から80代まで約50人のキャスト・スタッフは経験豊富で、積み重ねてきた稽古の成果を存分に発揮。舞台の幕が下りると客席からは大きな拍手が送られた。

 主人公は青年、老年で役者を分け、青年を演じた団体職員佐藤潔さん(65)=同市江刺=は「稽古では青年の白井に成り切ることを目指し、本番では白井の感情を自分なりに表現できた。観客からは感動したとのうれしい声が寄せられ、演じて良かった」と安堵(あんど)の表情を見せていた。

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