一関・平泉

地域へ広がる交流の輪 郷土偉人にちなむ取り組み 花泉・老松小「和算に挑戦」【一関】

校内はもとより涌津、花泉両小から寄せられた回答用紙を協力して採点する老松小の6年生
複数学校から解答も
▲「和算に挑戦」に掲載された自身の出題を手に喜ぶ涌津小の田口君

 児童が和算の問題を自ら考え出題する「和算に挑戦」を行う一関市花泉町の老松小学校(森和佳子校長、児童94人)の取り組みが、地元老松地区から花泉地域全体へと広がりをみせている。同校以外の児童による出題のほか、解答も複数の学校から数多く寄せられており、郷土の偉人にちなみ始まった校内の取り組みが、新たな学習と交流の輪となっている。

 同町老松地区は、江戸時代に日本独自の数学となる和算の興隆に尽力した千葉胤秀(1775~1849年)ゆかりの地で、地区内には現在も胤秀が生活していた旧宅が保存され、顕彰活動が続けられている。

 同校では郷土の偉人である胤秀にちなみ、楽しみながら算数に親しもうと2019年度に和算クイズを開始。20年度までは森校長が出題していたが、今年度は「老松小独自の和算を考えたい」との発案から児童が自ら問題を作り、月1問のペースで出題してきた。

 当初は問題を学校の廊下に張り出し、同校児童や訪れた保護者らが答えていたが、市民センターや花泉図書館に掲示して以降は広く地域の人たちからも回答や問題が寄せられている。

 1月の出題では、涌津小の児童が考えた問題を含む2問を同時掲載。解答についても同小や花泉小の児童から多くが寄せられ、回答総数は児童だけでこれまでの2倍近い84通に達した。

 4日には、老松小6年生が休み時間を利用して協力しながら回答用紙を採点。今回、色の違う4枚の布で何種類ののれんを作れるかという問題を出題した増田柚樹君は「和算の問題に取り組んでくれる人をもっと増やして、和算の素晴らしさを広めたい」と語った。

 涌津小から初めて出題した田口滉晴君(6年)は、長さ300メートルの橋を両端から違うペースで造るのに必要な日数を求める問題を考案。「前回の『和算に挑戦』を解いたら面白かったので、新しい問題を考えて図書館から応募した。多くの人が自分の問題を解き、和算を楽しんでもらってうれしい」と笑顔を見せた。

 老松小では、今年度最後となる次回「和算に挑戦」を老松、永井両地区の一般から寄せられた問題にしようと準備中。森校長は「子供たちが柔らかな心で感じ、自ら行動した結果が地域に広まったことは、大切な経験になったと思う。来春には町内六つの小学校が統合するが、この取り組みが各校の子供たちをつなげることにも役立ってもらえれば」と期待を寄せる。

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