一関・平泉

全国特許コン優秀賞 体系的知財教育の成果 一関高専学生チーム

パテントコンテスト優秀賞の賞状を手にする一関高専5年の(左から)福士さん、会田さん、吉田さん

 全国の大学生や高専生、高校生が考えた発明やアイデアを対象とした2021年度パテントコンテスト(文部科学省、特許庁、日本弁理士会など主催)で、一関市萩荘の一関工業高等専門学校(荒木信夫校長)の学生が優秀賞(特許出願支援対象)を受賞した。同高専の学生は同コンテスト5年連続計8件の入賞を果たしており、4年制大学と並ぶ全国トップクラスの成績に、指導に当たる関係者も1年生からの体系的知財教育の成果が現れたものと学生の活躍を喜んでいる。

▲3Dプリンターを使い試作した「段ボール・雑誌・新聞束ね補助具」

 受賞したのは未来創造工学科5年の福士舜介さん(20)、会田寧生さん(20)、山口達成さん(20)、吉田拓叶さん(20)の4人によるチームで発明の名称は「段ボール・雑誌・新聞束ね補助具」。Y字型に展開して新聞紙やA4サイズの雑誌などを容易に束ねられる構造で、使わない際は小さく畳んで収納できる。

 17日の卒業式後には、前夜に発生した地震の影響で出席できなかった山口さんを除く3人に主催者から届いた表彰状が伝達された。

 4人は機械・知能系2人、電気・電子系1人、情報・ソフトウェア系1人と異なる三つのクラスによる混合チームだったが、各自のアイデアの中から採用した発明テーマに沿ってそれぞれが意見を出し合い、より完成度の高いものに仕上げた。自身のアイデアが採用された福士さんは「こういうものがあれば便利と自分が考えたものがチームの力で形になり、入賞できたのを喜んでいる。この経験を今後のものづくりに生かしていきたい」と語る。

 同コンテストは、知的財産マインド育成を狙いに毎年開催。今年度は738件の応募があり、同高専チームは出願支援の対象にもなる優秀賞30件の一つに選ばれた。現在、専属の弁理士が付いて特許を申請中。

 同高専では知的財産の体系的教育として1年生から講演会で基礎知識を学び、4年生は専門家の実践指導を受けた上で、5年生で特許出願を念頭に置いたコンテストに参加している。過去5年間に8件入賞は全国の高専でトップなのはもとより、4年制大学を含めても全国3位の成績となる。

 学生の指導に当たる貝原巳樹雄教授は「受賞は本人たち自身の喜びであり、特許出願を実際に経験できる貴重な体験。今後に向けた教職員や在校生への励みにもなり、将来ミニ・エジソンの養成や新たな産業興しにつながれば、こんな痛快なことはない」、八戸俊貴准教授は「受賞はチーム内できちんと役割を分担し、各自が責任を果たしたものと推察する。来年度以降もより多くのチームが受賞し、特許申請という貴重な体験をしてもらえることを願う」と期待を寄せる。

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