水害教訓 忘れまい アイオン台風70年 夢灯りともし犠牲者追悼【一関】
1947、48年に一関市などに甚大な被害をもたらしたカスリン・アイオン台風の水難物故者を追悼する「一関夢灯(あか)り大会」は20日、市内の磐井川河川公園山目側で開かれた。第22回の今年はアイオン台風から70年の節目に当たり、訪れた市民が暗闇を照らす明かりに故人の冥福を祈った。
未曽有の大水害で命を落とした人たちのみ霊を慰め、後世に伝えようと毎夏開催されている。一関夢灯りの会が主催し、県南広域振興局と同市、夢灯りの制作に参加した一関修紅高校と県立一関清明支援学校本校舎小学部児童会が協賛した。
粘土や牛乳パックなどで作られた夢灯り約500個が河川敷で放射状に並べられ、中心に高さ180センチほどのメイン夢灯りが設置されて「カスリン・アイオン物故者573名慰霊追悼」と記した紙が掲げられた。
日没に合わせて夢灯りのろうそくに火がともされ、開会式で一関夢灯りの会の小岩登志子会長(75)が「アイオン台風から70年たち、亡くなった人たちの70回忌を迎えた。2度とこのような水害が起こらないよう祈りながら夢灯りを見てほしい」とあいさつ。平泉町在住のシンガー・ソングライター吉野崇さん(43)とピアノ奏者・古川大さん(44)の音楽ユニット「takaTAKAα」が追悼演奏した。両台風直後の市内の惨状を写真で伝えるパネル展や映像上映も行われた。
家族5人で来場した同市末広の千葉美由紀さん(37)は「災害が最近多いこともあり、台風被害の怖さを改めて感じた」と小さな炎を見詰めた。夢灯りを制作した一関修紅高2年の小野寺愛夢さん(16)は「牛乳パックでたくさん作った。被害を忘れないよう伝承していきたい」と話した。